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Channel: 日常&観劇日記
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令嬢と召使

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4月23日(土)シアタートラム19時開演の

「令嬢と召使」を観に行きました。





<タイムテーブル>




作 : ストリンドベリ(「令嬢ジュリー」より)
翻案 : 笹部博司
演出 : 一色隆司
出演 : 雛形あきこ、渡部豪太
ピアノ演奏 : 道脇直樹



<あらすじ>


令嬢ジュリーと召使ジャンとの関係を描いた1幕の戯曲である。

原作での設定は夏至の夜、ジュリーと召使ジャン、料理女

クリスティンと明記されている。しかし、今回の上演台本では

女と男二人の俳優で上演するよう再構成した。女は令嬢という檻、

男は召使という檻に入り、そこから舞台はスタートする。

まるで格闘技のように俳優と俳優の肉体とことばが逃げ場なく

激しくぶつかり合う。今回の「令嬢と召使」で二人の俳優の間に

起こることは、普遍としての男と女の心の体験となる。





二人の役者が令嬢と召使役になり、即興で物語を演じる、という設定。

雛形あきこさんは、伯爵令嬢と、召使の婚約者役の二役。

令嬢のジュリーはわがままで気位が高い。ダンスの練習相手を

つとめたジャンの事が気に入り、夜更けにジャンの部屋をたずね、

色仕掛けでせまってくる。人に見られると職を失うし、隣の部屋で

寝ている婚約者が目をさますから、という理由で令嬢をこばむジャン。

つれないジャンにだんだんイライラしていくジュリー。





しかし、巧みなジャンの作り話にだまされ、二人は一夜を共にする。

朝になると豹変するジャン。ジャンは男としての征服欲を

満たした事で満足し、令嬢に屈辱的な言葉を浴びせ、

ジュリーの心をズタズタに切り裂いていく。

手の届かない世界に生きる令嬢を自分の世界に

引きずりおろした事で勝ち誇ったように笑うジャン。

髪を振り乱して、「私は取り返しのつかないことをしてしまった」と

泣き叫ぶジュリー。雛形あきこさん涙を流してすごい迫力だった。

腰が低くて従順そうだったのに、ジゴロに豹変するジャンも

別人のようだし。主従関係が入れ替わり、

「一緒に逃げて」と懇願してすがる令嬢があわれだった。







ジャンの婚約者の料理女、こちらは声が低めで

ぶっきらぼうなしゃべり方。雛形さんの演じ分けが見事。

見ていて、昔見た「流されて」という映画を思い出しました。

船旅の途中、ボートで遠出した上流階級の人妻と使用人が遭難。

二人は無人島にたどり着くが、文明と隔絶された環境の中で

やがてその立場が逆転する、という物語。

見終わって、女性がシンデレラ願望を持つのと同様、

この手の話というのは、男性の征服欲と支配欲を

限りなく満たしてくれる話なのね、と思ったのだった。







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