10月15日下北沢駅前劇場14時開演の
「あたま山心中~散ル散ル満チル」を観に行きました。

[作]竹内銃一郎
[演出]寺十吾
[出演]近藤公園 / 平岩紙


<あらすじ>
さくらんぼの種を食べて頭に桜が生えてしまった男の
悲喜劇の古典落語『あたま山』と、メーテルリンクの
『青い鳥』をモチーフとしたストーリー。
”幸福の青い鳥”を探すため、兄妹は旅に出ます。
果たして兄妹の青い鳥探しの旅はどこへ行き着くのでしょうか…
舞台中央には幹がいりくんだ満開の桜の木が1本。
舞台「桜の花の満開の下」のような風景。
旅に出るためにいろいろな帽子を試す可愛らしい妹。
それを見ながらしきりに薬を勧める兄。
「薬を飲むと時々記憶がなくなるの」と不安げに言う妹。
二人の子供時代の回想シーンでは声にエコーがかかったり、
列車の中で妹に殺意を抱く兄のシーンでは、真っ暗な中
列車の音と妹が兄を呼ぶ声だけが聞こえたり、とサスペンスな感じ。
過去と現代が入り乱れて、妹役の紙ちゃんが、
お婆さんになったりお爺さんになったり、奥さんになったり.
声も表情も別人になり、七変化が素晴らしかった。
かずえ、という女に会いに行く「あなた」に嫉妬する妻。
罵声を浴びせ、ヒステリックに怒鳴る様子に背筋がゾクッ。
紙ちゃんの迫力に客席も凍りつく。ドスのきいた声が怖かった。
言い訳をしながら恐怖で引きつった近藤さんの表情にも目が離せず
二人の緊張感あふれるやり取りに、変な汗が吹き出してきて
心臓がドキドキしっぱなしでした。
桜の木には首吊り用の縄が、ぶら下がり、
去年観た
別役実さんの作品「死体のある風景」を思い出しました。
生と死が混在している世界。
狂気と悪夢がいかにも本当に存在するかのようなリアルで
迫力のある演技に、終演後もボーッとしてしばらく
現実世界に意識が戻らないくらいだった。
今まで観た二人芝居の中では一番衝撃的で印象に残る舞台でした。