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遠野物語・奇ッ怪 其ノ参

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11月14日世田谷パブリックシアター19時開演の
遠野物語・奇ッ怪 其ノ参」を観に行きました。





<タイムテーブル>





原作 :  柳田国男(「遠野物語」角川ソフィア文庫)
脚本・演出 : 前川知大

<出演>

仲村トオル、瀬戸康史 、山内圭哉、池谷のぶえ、
安井順平、浜田信也、安藤輪子、石山蓮華、銀粉蝶


<あらすじ>

今は昔、あるいは未来。舞台となる世界は現実から少しずれた
架空の日本。社会の合理化を目指す「標準化政策」により、
全てに「標準」が設定され、逸脱するものは違法とされた。
物事は真と偽、事実と迷信に明確に分けられ、その間の
曖昧な領域を排除した。管理の整った首都圏は標準に染まり、
地方も固有の文化を失うことで衰退しつつある。
作家のヤナギタ(仲村トオル)は、東北弁で書かれた散文集を自費出版したことで
任意同行を求められた。
方言を記述したうえ、内容も迷信と判断され、警察署の一室で
事情を聞かれている。迷信を科学的に解明することで著名な学者、
イノウエ(山内圭哉)が召喚され聴取に加わった。
ヤナギタは、書物は標準語と併記のうえ、内容も事実だと主張する。
それはある東北の青年、ササキ(瀬戸康史)から聞いた
ノンフィクションであり、流行りの怪談とは違うと話す。
しかしイノウエは、書かれたエピソードは科学的な解明が
可能なものに過ぎないが、奇ッ怪なように
書くことで妄言を流布し
迷信を助長するものであると批判する。
散文集のエピソードについて二人が議論をする内に、
次第にヤナギタが著作に込めた思いや、イノウエが怪を暴き続ける
個人的な理由が浮き彫りになっていく。
そんな中、ヤナギタに物語を語った東北の青年、ササキが
警察署に現れる。イノウエはササキに真意を求める。
しかしヤナギタはササキが現れたことに動揺している。
彼は今ここに居てはいけないのだ…。
散文集(「遠野物語」)のエピソードを紹介しながら、
ヤナギタとイノウエは真と偽、事実と迷信、この世と
あの世といったものの、間(あわい)の世界へ迷い込んでいく。




山内さんの説明からのスタート。
目に見えないものを信じるか信じないかはあなた次第、的な話。
漫談を聞いているみたいで、面白かった(o^^o)
椅子とテーブルだけのシンプルなセット。
ヤナギタが警察の取り調べ室で、自分の体験した話を語って
聞かせるうちに次第に周囲は不思議な世界に誘われていく。
霊媒体質の遠野の青年・ササキ役が瀬戸君、
聞き取れないほどなまりのひどい東北弁セリフが滑らかでビックリ!
物語を語っている時、本当に憑依しているみたいですごい。




神隠しや、座敷わらしや、河童、祟り等ゾクゾクワクワクする
話の数々を、キャストの皆さんが入れ替わり立ち代り
登場人物になって見せてくれ、遠野の世界にどっぷり浸りきる。
お婆さんが収穫してきたキノコが、いつの間にか
過去の話の中で、一家全員死亡事件の原因となった
毒キノコとして登場する演出は繋がりが自然で見事。
銀粉蝶さんのお婆さん役すごかったなー




遠野の物語を語るだけでなく、失われつつある
言い伝えや迷信の類について、もしかしたら真実が
含まれているのかも、というロマンのようなものを感じ、
「目に見えるものだけが真実なのか」
という問いかけにも考えさせられた。
不思議な世界を垣間見た2時間、濃厚な演技に魅せられ、
あの世とこの世の境目にいたようなミステリアスな時間だった。


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