12月12日(土)神保町花月19:30開演の
「岸を渡るは別の役をまといしあなた」を観に行きました。
一度行ってみたかった神保町花月。
1階は吉本の芸人さんグッズ売り場で、劇場は地下でした。
ネタバレありますのでお気を付け下さい。
作 : 岸田國士 「命を弄ぶ男ふたり」
出演 : 竹財輝之助&是近敦之
作 : 別役実
出演 : 児玉絹世&新井和之
出演 : 竹財輝之助、是近敦之、児玉絹世、新井和之
「命を弄ぶ男ふたり」では、電車の飛び込み自殺を
しに来た男が同じ場所で出会う。当初自分の方が
先に自殺をする、と言い張り、それぞれ電車に飛び込むも、
飛び降りた位置がずれていたり、となかなか死ねない。
そのうちお互いの自殺の原因となる女性の事を話出す。
是近敦之さんは顔が包帯でグルグル巻きだったのにもかかわらず
台詞がクリアですごく台詞が聞きとりやすかった。
自分の方が死ぬにふさわしいという張り合いや、
お互い自殺の原因となった女性がいかに素晴らしかったか、
という自慢合戦など、笑える箇所もありましたが、
死を前面に出したブラックなネタでゾっとしました。
「死体のある風景」では、自殺受付係りと、自殺をしに来た
女性客の受付風景の話。下手には首つり用のロープが垂れている。
男性係員役の新井和之さんは、人間くさくもあり、事務的でもあり、
あの世とこの世の番人のような摩訶不思議な雰囲気。
児玉絹世さん演じる女性客は、死とは無縁そうな
無垢なイメージで、この二人のギャップに
じわじわと恐ろしさが伝わってきました。
分かっているものと思い、どんどん手続きをすすめようとする
係員と、初心者で全く手順が分からない
女性客のかみあわない会話のやりとりが面白い。
後方に置いてある今までの自殺者が
置いて行ったたくさんの荷物の山が生々しかった。
「なぜあなたは死なないの?」と問いかける女性に
「死がよく分からないから生きているだけ」と答える係員。
哲学のような問答シーンもあった。
ラストでは、思いがけない展開で二つの話がつながっていく。
楽しくもハッピーエンドでもないストーリーですが、
シュールで魅かれる話だった。
お土産にオロナミンCをいただきました。